ごあいさつ

いつもお世話になっております。日夜業務にご専念の事と拝察いたします。
当協会は1985年のジエチレングリコール事件の際に発足しました。今となっては御存知のない方もいらっしゃるでしょうが、悪夢のような時代でした。海外のごく僅かなワイン製造業者が極甘口ワインのような甘味や舌触りを出すため粗悪なワインにジエチレングリコール(不凍液)を添加したことが発覚したのです。このニュースは世界のワイン業界を震撼させましたが、日本では一部のメーカーがブレンド用にこのワインを使用したことが明らかにされて大騒ぎになりました。これは日本でワインの普及が軌道に乗りだした時期であったため、マスコミの過剰な報道が消費者にワイン一般に不信感をいだかせ、誠実なワイン輸入業者のワインまで疑惑の念をいだかれ、日本のワイン輸入事業に大打撃を与えました。業界をあげてワイン全体に対する不信の排除に当たりましたが、個々のワイン業者だけでは厚生省への陳情やマスコミ対策を効果的に果たせないことを痛感し、有志の業者が集って厚生省への窓口団体として協会を発足させたのです。

申し上げるまでもなく、ワインは無機物の商品ではありません。人々の健康を維持するのに大きな役割を果たすとされている重要な健康食品です。ことに貿易の自由化グローバリゼーションによって世界各地から実に多種多様のワインが日本市場にあふれる時代になっています。そうした中でいつ、不正や疑惑が生じるかもしれない時代に入っているのです。万一、そうした事態が発生した場合、各輸入業者が総力をあげて対策を講じなければなりません。食の安全を守るのは食品を扱う企業の社会的責任です。その見地からも、ワイン輸入業者の方々には是非御入会下さることを切望して居ります。

皆様の御事業の発展を心から祈りつつ。

日本輸入ワイン協会
会長:山本 博